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ペット健康情報コラム

2026.08.18

愛犬のおなかで働く菌たち 犬の腸内フローラ入門

愛犬のおなかは 小さな菌の世界

犬のおなかの中には、数えきれないほどの腸内細菌がくらしています。

この菌たちのあつまりは、消化を助けたり体を守ったりと、いろいろな役目を担っています。

まるでおなかの中にもうひとつの臓器があるようなものです。

どんな菌が多いのかは研究によって幅がありますが、おおまかな顔ぶれは見えてきています。

まずは健康な犬でよく見つかる菌のグループを眺めてみましょう。

健康な犬の腸内細菌のおもな門ごとの報告レンジを示した図

菌の割合は 幅で見るのがちょうどいい

犬の腸内細菌は、研究や個体によってかなりばらつきます。

総説では、ファーミキューテスがおよそ16から45パーセント、ときに75パーセントに達すると報告されています。

バクテロイデーテスは30から37パーセントほど、フソバクテリアは9から39パーセントほどと幅があります。

プロテオバクテリアやアクチノバクテリアは、それより少なめの割合で見つかります。

だからひとつの数字にこだわるより、幅として受け止めるのが実態に近い見方です。

善玉菌がしてくれる うれしい仕事

腸内細菌の中には、食べ物の繊維を分解してくれる頼もしい菌がいます。

繊維を発酵させると、短鎖脂肪酸という小さな物質が生まれます。

これは腸のエネルギー源になり、腸の中を弱酸性にして悪い菌が増えにくい環境づくりを助けます。

さらに腸の粘膜を守るはたらきにも関わると考えられています。

食物繊維から短鎖脂肪酸ができるまでの流れを、イメージにすると次のようになります。

食物繊維から短鎖脂肪酸ができて腸を守る流れのイメージ図

バランスが乱れるとは どういうことか

菌のあつまりがちょうどよく保たれた状態を、専門的にはよいバランスと呼びます。

これがくずれた状態は「ディスバイオシス」と呼ばれ、腸内のつり合いが乱れることを指します。

総説では、こうした乱れが体重の変化や代謝の乱れ、行動の変化と関わりうると紹介されています。

ただし乱れがすぐに病気を意味するわけではなく、あくまで関わりが指摘されている段階です。

よい状態と乱れた状態のちがいを、イメージで見てみましょう。

腸内バランスのよい状態と乱れた状態を比べたイメージ図

毎日の食事とのつながり

犬の腸内細菌の顔ぶれは、ふだんの食事に大きく左右されます。

たんぱく質や繊維、炭水化物のバランスが変わると、菌の構成もゆっくり変わっていきます。

とくに食物繊維は、短鎖脂肪酸をつくる菌を後押しする一助になると考えられています。

米ぬか由来の繊維のような素材が、こうした菌の食事として注目されるのもこのためです。

気をつけたいこと

ここで紹介した割合はあくまで報告の一例で、犬ごとの個体差はとても大きいものです。

食事やサプリメントを変えるときは一度に大きく変えず、少量から様子を見て進めてください。

軟便や下痢、食欲の低下が続くときは自己判断を避け、動物病院に相談しましょう。

腸内環境をととのえる工夫は健康を約束するものではなく、日々の暮らしを支える土台のひとつと考えるのがおすすめです。

出典

Kim H, Chae Y, Cho JH, Song M, Kwak J, Doo H, Choi Y, Kang J, Yang H, Lee S, Keum GB, Wattanaphansak S, Kim S, Kim HB. Understanding the diversity and roles of the canine gut microbiome. Journal of Animal Science and Biotechnology. 2025; 16: 95. DOI: 10.1186/s40104-025-01235-4. https://doi.org/10.1186/s40104-025-01235-4