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ペット健康情報コラム

2026.08.01

「かさ増し」と呼ばれた米ぬかが、ペットフードで見直されている理由

昔は「安いかさ増し材」。いま起きている評価の逆転

ペットフードの原材料表示に「米ぬか」と書かれていたら、あなたはどう感じるでしょうか。

少し前まで、米ぬかのように「精製したあとに残るもの」は、安く量をふくらませるための材料だと批判されがちでした。

ところが最近、その見方が大きく変わってきています。

食物繊維、ミネラル類、ビタミンB群、ビタミンEなど、複数の栄養素をあわせ持つ素材として、栄養学的な価値が見直されているのです。

素材によっては、かつてよりずっと高い値段で取り引きされるようになりました。

海外では「ライスブラン」と呼ばれ、自然派をうたう製品で人気の高い原料になっています。

白いごはんが手放しているもの

わたしたちが毎日食べている白いごはんは、玄米をけずって作られます。

そのとき外側からはがれ落ちるのが、米ぬかです。

重さでいえば、米ぬかは玄米のほんの数パーセントにすぎません。

けれども、けずり落とされたその薄い層にこそ、栄養がぎゅっと集まっています。

米を精白したあとの米ぬかには、粗タンパク質、粗繊維、ビタミン類、ミネラル類が多く含まれます。

反対に、デンプン質は少ないという特徴があります。

つまり米ぬかは、「カロリーのかたまり」ではなく「栄養と繊維のかたまり」なのです。

ペットフードに食物繊維が必要な、地味だけど大事な理由

食物繊維と聞くと、人間の便秘対策を思い浮かべるかもしれません。

でもペットフードの世界でも、食物繊維はとても重要な成分として扱われています。

セルロースやリグニン、ヘミセルロースといった繊維は、腸内で発酵しにくい「不溶性食物繊維」です。

これらは便の形を保つはたらきに、大きく関わっています。

うんちがゆるすぎても、かたすぎても、犬や猫の体には負担になります。

その「ちょうどよさ」を支えているのが、繊維なのです。

主役だけでは足りない。だからこそ米ぬか

ペットフードの食物繊維は、主にトウモロコシ、小麦粉、脱脂大豆といった穀類から供給されています。

ところが、それだけでは量が足りなかったり、繊維のバランスが偏ったりすることがあります。

そこで、繊維を豊富に含むさまざまな原料が組み合わされます。

米ぬかは、まさにその役割を担える素材のひとつです。

しかも繊維だけでなく、ビタミンやミネラルも一緒に持ってきてくれます。

ペットも人と同じく飽食の時代を迎えました。

「足りないものを足す」より「多すぎるものを整える」ことが大切になった今、米ぬかの有用性はあらためて注目されています。

ただし、いいことばかりではありません

ここで、正直にお伝えしておきたい注意点があります。

米ぬかに含まれるリンは、その多くが「フィチン態リン」という形で存在しています。

これは有機物と結びついたリンで、そのままでは体に吸収されにくい形です。

このフィチンを分解するには、フィターゼという酵素が必要になります。

ところが犬や猫のような単胃動物は、消化管の中にフィターゼをほとんど持っていません。

つまり、表示の数字どおりのリンが使えるわけではないのです。

そのためペットフードの設計では、脱脂米ぬかのリンを含有量どおりには評価しません。

ゼロから3分の1程度に低く見積もり、足りない分はほかのリン源で補うのが一般的です。

「原料を知る」ということ

米ぬかは、魔法の素材ではありません。

得意なこともあれば、苦手なこともあります。

大切なのは、その両方を知ったうえで使うことです。

かさ増し材と切り捨てるのも、万能薬と持ち上げるのも、どちらも正確ではありません。

原料の性質を正しく理解して設計されたごはんこそが、毎日食べるものとして信頼できるのだと思います。

クロノーブは、その米ぬかを主原料に選びました。

だからこそ、良い面だけでなく気をつけるべき点も、包み隠さずお伝えしていきます。

出典

・2015年 ペットフード疑似科学を科学する(3)

・2018年 ペットフードで使用される主な食物繊維・オリゴ糖源原料

・2021年 ペットフードの主な原料