よく動く人のおなかは、にぎやか?運動と腸内細菌の意外な関係
運動と、おなかの中の菌。関係あるの?
運動をすると体が軽くなったり、気分がすっきりしたりします。
でも運動が「おなかの中の菌」にも関係していると聞いたら、ちょっと意外に感じるかもしれません。
わたしたちの腸には100兆個をこえるたくさんの細菌がすんでいて、その重さは1.5〜2キログラムにもなるといわれます。
2023年に発表された総説(研究をまとめた論文)は、この腸内細菌と「運動・栄養」の関係を紹介しています。
書いたのはスポーツ科学の研究者です。

腸内細菌は「見えない相棒」
まず腸内細菌がふだん何をしているのかを見てみましょう。
腸内細菌はわたしたちが食べたものをエサにして生きています。
とくに食物繊維のような消化しにくいものを発酵させるのが得意です。
そのとき「短鎖脂肪酸(たんさしぼうさん)」という物質を作り出します。
短鎖脂肪酸は体のエネルギー源になったり、腸を元気に保ったりするのに役立ちます。
さらに腸内細菌は、悪い菌が増えるのをふせいだり免疫の調整を助けたりもしています。
まさに体の中ではたらいてくれる「見えない相棒」なのです。
アスリートの腸は、種類がゆたか
ここからが、この論文のおもしろいところです。
研究ではプロのラグビー選手の腸内細菌を調べました。
するとふつうの人にくらべて、腸内細菌の「種類の多さ(多様性)」が高いことがわかりました。
腸の中にいろいろな菌がバランスよくすんでいる、ということです。
さらに体力の指標である「最大酸素摂取量」との関係も調べられました。
これはたくさん運動したときに、どれだけ多くの酸素を取りこめるかを表す数字です。
その結果、体力が高い人ほど腸内細菌の多様性が高く、便の中の短鎖脂肪酸も多い傾向が見られました。
つまりよく動く体とにぎやかな腸は、なんとなく手をつないでいるようなのです。

どちらが先かは、まだ研究の途中
ここでひとつ気をつけたいことがあります。
「運動すれば腸内細菌が豊かになる」と、まだ言いきれるわけではありません。
腸内細菌が豊かだからよく動ける体になっているのかもしれませんし、その逆かもしれません。
この「どちらが先か」は、まだはっきりとは分かっていません。
論文でも、持久的なトレーニングによって腸内細菌が変化する可能性が示されつつある段階だと紹介されています。
研究はまさに、これから発展していくところなのです。
競走馬やペットの「調子」にも、腸はヒント
この考え方は人だけのものではありません。
体が資本の競走馬にとって、腸内環境はコンディションを左右する大事な土台です。
よく運動する犬や活発な猫にとっても、同じことがいえます。
腸の調子は便の様子にあらわれます。
だからこそ毎日の便を見てあげることは、その子の「調子のバロメーター」を読むことにつながります。
論文でも、腸内細菌やそれを反映する便を、トレーニングや体調管理に活かせる可能性が示されています。

ここは注意したいポイント
とはいえ、たくさん運動すれば腸が元気になると単純に言えるわけではありません。
やりすぎた運動は、かえって体に負担をかけることもあります。
無理のない範囲で続けられることが大切です。
また効果の出かたには個人差があり、動物でも一頭ごとにちがいます。
腸内細菌の研究はまだ新しく、分かっていないこともたくさんあります。
体調に不安があるときや、ペットの様子がいつもとちがうときは、専門家や獣医師に相談してください。
まとめ
腸内細菌は食物繊維から短鎖脂肪酸を作り、体を支える「見えない相棒」です。
研究では、よく運動する人ほど腸内細菌の種類が豊かな傾向が報告されています。
ただし「運動が先か腸が先か」は、まだ研究の途中です。
それでも腸を整えることは、人にも動物にも、元気に動ける毎日の土台になりそうです。
クロノーブは米ぬかを発酵させた生きた菌で、よく動く体を内側から支えることを大切にしています。
出典
宮地元彦「腸内細菌叢とスポーツ栄養」日本スポーツ栄養研究誌 第16巻、2023年(依頼総説)