ごはんとパンのヒミツ!穀物の『食物繊維』ってこんなにスゴかった
「食物繊維は体にいい」——これはみんな知っていると思います。
でも実は、食物繊維には2つのタイプがあって、穀物によって中身がぜんぜん違うってこと、知っていましたか?
白いごはん、食パン、玄米、大麦(麦ごはん)、オーツ麦(オートミール)…どれも「穀物」の仲間ですが、含まれている食物繊維の量も種類も、実はバラバラ。
今回は、そんな穀物と食物繊維のヒミツを、できるだけやさしい言葉でひも解いていきます。
そもそも「食物繊維」って何をしているの?
食物繊維は、大きく分けて2つの仲間がいます。
- 不溶性食物繊維:水に溶けないタイプ。お腹の中をお掃除ブラシみたいに動いて、うんちを大きく・早く出してくれる。
- 水溶性食物繊維:水に溶けるタイプ。お腹の中でネバネバのゲルになって、コレステロールや糖をキャッチし、吸収をゆっくりにしてくれる。
この2つ、実際に体の中でどう働いているかをイラストにしてみました。

「お掃除係」と「キャッチャー係」、この2人がチームを組んで、私たちのお腹の健康を守ってくれているイメージです。
日本人は食物繊維が足りていない?
実は、日本人が食べている食物繊維の量は、昔よりずいぶん減っています。
1955年ごろは1日20g以上とっていたのに、今では約14gまで下がってしまいました。
原因のひとつは、ごはん(お米)を食べる量が減ったことや、大麦などの雑穀を食べなくなったことだと考えられています。
ちなみに、今の目標量は中学生よりも上の年代(18〜69歳)で、男性1日20g、女性1日18g。意外とハードルは高めです。
穀物によって「量」も「タイプ」も大違い!
同じ「穀物」でも、含まれる食物繊維の量とタイプはこんなに違います。

このグラフを見ると、いくつか面白いことがわかります。
- 玄米は食物繊維がいちばん少なめ。お米は他の穀物と違って、粉にせず精米して食べるため、栄養が多い皮の部分(ヌカ)が取り除かれてしまうからです。
- 全粒ライ麦は食物繊維の量がトップクラス。
- 大麦だけ、水に溶けるタイプ(水溶性)がとても多い。他の穀物は「水に溶けないタイプ」がほとんどなのに、大麦だけは水溶性が半分以上を占めています。
同じ「水に溶けるタイプ」でも中身は別もの
「水溶性食物繊維」とひとことで言っても、実は大麦・オーツ麦・小麦では中に入っている成分がぜんぜん違います。

- 大麦とオーツ麦は「β(ベータ)-グルカン」という成分がほとんどを占めています。β-グルカンはブドウ糖がたくさんつながった物質で、コレステロールや血糖値を下げる働きで注目されています。
- 小麦は逆に「アラビノキシラン」という別の成分が主役。β-グルカンはほんの少ししか入っていません。
同じ「水溶性食物繊維」というラベルでも、中身がまったく違うキャラクターだったんですね。
全粒穀物をたくさん食べると、体にいいことずくめ
海外の研究では、全粒穀物(皮ごと使った穀物)をしっかり食べると、health(健康)にいろいろな良い影響があることが報告されています。
- 1日16gの全粒穀物を食べると、死亡リスクが7%下がる
- 1日48gだと、なんと20%も下がる
さらに大規模な研究では、1日90gの全粒穀物を食べると、心臓の病気やがん、糖尿病など、いろいろな病気による死亡リスクが下がることが示されました。
ただし効果があったのは、全粒パンや全粒シリアル、小麦フスマ入りの食品などで、白米や精製された穀物、普通の白いパンではあまり効果が見られなかったそうです。「皮つき」で食べることがポイントのようです。
大麦は「おなかポッコリ」対策にも
大麦にはβ-グルカンがたくさん含まれていることは先ほど紹介しましたが、実際に大麦をたくさん食べる実験も行われています。
大麦と白米を半分ずつ混ぜた麦ごはんを、1日2パック・12週間食べ続けてもらったところ——
- お腹まわり(腹囲)が減った
- 内臓脂肪の面積も減った
という結果が出ました。1日あたりβ-グルカンを約3gとることが、内臓脂肪を減らしたり、コレステロールを正常にするためのちょうどいい量だと考えられています。
だいたい、麦ごはん茶碗2杯分くらいのイメージです。
大麦はほかにも、食後の血糖値が急に上がるのを抑えたり、お腹の中に長くとどまって満腹感を持続させたりする効果も報告されています。
朝ごはんに大麦を食べると、なんとお昼ごはんの後の血糖値まで落ち着きやすくなる「セカンドミール効果」というおもしろい現象もあるそうです。
オーツ麦(オートミール)もコレステロール対策の味方
オーツ麦もβ-グルカンが豊富な穀物です。研究では、オーツ麦のお粥を毎日食べ続けたグループは、食べなかったグループに比べて血液中のコレステロール値がしっかり下がったことが確認されました。1日2〜3g程度のβ-グルカンを摂ることが目安になるようです。
まとめ:いろんな穀物をバランスよく食べよう
- 玄米・全粒小麦:お腹の中のお掃除役。便通を整えるのが得意。
- 大麦・オーツ麦:コレステロールや血糖値のキャッチャー役。β-グルカンが主役。
- 白米・精製された穀物だけでは、こうした健康効果はあまり期待できない。
「食物繊維」とひとくくりにするのではなく、それぞれの穀物が持っている個性を知って、いろんな種類を組み合わせて食べることが、健康への近道と言えそうです。今日の晩ごはんに、少しだけ玄米や麦ごはんを混ぜてみるのもいいかもしれませんね。
参考文献:青江誠一郎(2016)「穀類に含まれる食物繊維の特徴について」日本調理科学会誌 Vol.49 No.5, 297-302