赤ちゃんの腸内細菌
胎児の腸内は基本的に無菌状態ですが、出生時に母親や環境由来の細菌に影響をうけ新生児の腸内細菌叢の形成が始まります。例えば自然分娩出生児の腸内細菌叢は,出産前の母親の腟内細菌叢と類似するのに対し,帝王切開出生児は,母親の皮膚常在細菌叢と類似すると報告されています。赤ちゃんはお母さんから栄養や免疫にかかわる物質を受けとって成長しますが、腸内細菌もお母さんからの大切なプレゼントなのですね。 赤ちゃんは大人と比較して腸管感染症にかかりやすく,WHO (世界保健機構)によると下痢症は5 歳未満の小児における死亡原因の第2 位に位置づけられています。その理由は、赤ちゃんの腸内細菌叢が未成熟であるためと言われています。赤ちゃんの健康のためには、赤ちゃん自身の腸内環境はもちろん妊娠中のお母さんの腸内環境にも十分な配慮が必要ですね。
【参考文献】
1) 牧野 博ほか, 新生児・乳児期の腸内細菌叢とその形成因子. 腸内細菌学雑誌 33 : 15-25,2019
2) Dominguez-Bello MG, Costello EK, Contreras M, Magris M, Hidalgo G, Fierer N, Knight R. Delivery mode shapes the acquisition and structure of the initial microbiota across multiple body habitats in newborns. Proc Natl Acad Sci USA. 2010; 107: 11971–11975.