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コラム

2021.08.23

漏れる腸(リーキーガット)

 腸は栄養素を食物から吸収する一方で、腸内細菌などの異物が体内へ入ることを防ぐためにバリア機能を有しています。リーキーガット(Leaky Gut)とは、このバリア機能が低下して腸壁の透過性が上昇することで、本来、腸(Gut)を透過しない未消化物や老廃物、微生物成分などが生体内に漏れ出す状態(Leak)のことをいいます。さらに、これらの物質が血流に入ることで体のさまざまな部位に運ばれ、炎症を引き起こすことで自己免疫疾患やアレルギー、感染症、精神疾患など多くの疾病の発症や憎悪に関わると考えられています。

 自閉症スペクトラム障害におけるリーキーガットに関する検討では,健常児における頻度が4.8%であったのに対し,自閉症スペクトラム障害児は36.7%と頻度が高かったという報告があります。リーキーガットは腸管からの様々な物質の体内への侵入を許し、その異物によりインターロイキンなどの炎症性サイトカインの血中濃度を増加させ、それが脳内に入ることにより脳が障害され自閉症スペクトラムの発症や症状の出現に関係している可能性が考えられています。 「精神疾患と腸内細菌が関係する?オカルトみたいだね」と言われることがありますが、そのメカニズムは科学的に解明されつつあります。

【参考文献】
1)ヤクルト中央研究所ホームページ: https://institute.yakult.co.jp/dictionary/word_6707.php
2)功刀 浩:うつ病・自閉症と腸内細菌叢: 腸内細菌学雑誌 32 巻 1 号 2018