発酵させた米ぬかの意外な仕事 善玉菌を「足す」より腸を変えていた
発酵は「もうひとつの調理法」
みそやヨーグルトのように、菌の力で食べものを変える発酵は、昔から親しまれてきました。
米ぬかも、発酵させると中身がずいぶん変わります。
麹菌や乳酸菌、ビフィズス菌が米ぬかを分解し、ペプチドやアミノ酸、オリゴ糖などが生まれるのです。
こうしてできた発酵米ぬかが、体の中でどう働くのかを調べた研究があります。

高脂質食のマウスで確かめた
研究では、高脂質のエサを食べたマウスを二つのグループに分けました。
片方は高脂質食だけ、もう片方は高脂質食に発酵米ぬかを少し加えて、8週間ようすを見ます。
すると発酵米ぬかを加えたグループは、体重の増えかたがゆるやかになりました。
おもしろいのはその理由です。
食べる量も、24時間の活動量も、二つのグループで差はありませんでした。
つまり「たくさん食べたから」「動かなかったから」では説明できない変化だったのです。
善玉菌を「足す」のとは違った
ここで意外な結果が出ます。
発酵米ぬかには27種類ものグループの菌がいましたが、マウスの腸で見つかったのはそのうち5種類だけでした。
しかも、与えた菌がそのまま増えたわけではありません。
むしろEnterococcusやPeptostreptococcaceaeといった一部の菌の増えすぎが抑えられていました。
発酵米ぬかは、外から善玉菌を足すというより、菌どうしのバランスを内側から変えていたようです。

腸と血の中でも変化が起きた
腸の中を調べると、便のコハク酸という物質が減っていました。
このコハク酸の減りかたは、高脂質食で増え発酵米ぬかで抑えられた菌の割合と、きれいに連動していました。
血液のほうでも変化があり、フマル酸が増え、いくつかの物質は減っていました。
これらはエネルギーをつくる代謝の流れに関わる成分です。
腸の菌の変化と体の代謝の変化が、手をつないでいるように見えます。

わかったことと、まだわからないこと
発酵米ぬかは体重の増えかたをゆるやかにし、腸の菌や有機酸、血の中の代謝物を動かしました。
こうした一連の変化が、体重が増えにくかったことに関わっている可能性があります。
ただし忘れてはいけない点があります。
これはマウスの実験であり、人やペットにそのまま当てはまるとは限りません。
発酵米ぬかが何かの病気を治したり防いだりすると約束するものでもありません。
発酵は、米ぬかの働き方を変えるひとつの入り口だと考えるのがちょうどよさそうです。
食べもので体を整えるときは、量やバランス、体質との相性も大切にしたいところです。
出典
Tochitani S, Maehara Y, Kawase T, Tsukahara T, Shimizu R, Watanabe T, Maehara K, Asaoka K, Matsuzaki H. “Fermented rice bran supplementation ameliorates obesity via gut microbiota and metabolism modification in female mice.” Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition. 2022;70(2):160–174. doi:10.3164/jcbn.21-96