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ペット健康情報コラム

2026.08.24

シニア犬のおなかは変わる? 106頭を調べてわかった小さな変化

年をとると、愛犬のおなかも変わるの?

人と同じで、犬も年齢を重ねます。

毛づやや歩き方が変わるように、おなかの中の腸内細菌も変わるのでしょうか。

飼い主さんなら一度は気になる疑問だと思います。

この問いに正面から取り組んだ研究があります。

健康な犬を年齢で三つのグループに分けて、腸の状態をていねいに比べたものです。

若い犬、成犬、そしてシニア犬という区切りです。

調べた犬の数は106頭にのぼります。

健康な犬106頭を若齢と成犬とシニアの三つの年齢グループに分けて腸の状態を調べたことを示す図

シニア犬で見えた「小さな変化」

研究では、シニア犬の便からいくつかの変化が見つかりました。

腸内細菌のうち、ルミノコッカス科やバクテロイデス科と呼ばれるグループが、やや多めになる傾向がありました。

菌がつくる短鎖脂肪酸にも違いがありました。

シニア犬では酢酸の割合が高めで、一方で吉草酸という成分は成犬より少なめでした。

ただし、ここで早合点は禁物です。

これらはあくまで「割合や量がすこし動いた」というレベルの変化です。

数字が大きく崩れたわけではありません。

シニア犬で見られた小さな変化と年齢で差がなかった項目を並べて示した図

意外と「崩れない」おなかの底力

この研究のいちばんおもしろいところは、変わらなかった部分にあります。

腸内細菌の種類の豊かさ、いわゆる多様性は、年齢のあいだで大きな差がありませんでした。

腸内環境の乱れぐあいを示す指標も、グループ間ではっきりした差は出ませんでした。

腸の状態に関わる免疫の指標も、年齢による有意な差は見られませんでした。

つまり、健康な犬であれば、年をとっても腸の全体像は意外としっかり保たれていた、ということです。

細かな変化はあるけれど、土台はそう簡単には崩れない。

これは愛犬家にとって、少し安心できる知らせではないでしょうか。

加齢で腸内細菌は大きくは崩れないが小さな変化はあるので毎日のケアが役立つという流れを示した図

だからこそ、毎日の積み重ねが生きる

とはいえ、油断してよいという話ではありません。

今回の研究は健康な犬を対象にしたものです。

体調をくずしたり、食事が大きくかたよったりすれば、話は変わってきます。

小さな変化が積み重なる前に、日々の暮らしで腸の環境を気づかうことには意味があります。

具体的には、年齢に合った食事を選ぶこと。

消化にやさしいものや、菌のエサになる食物繊維をほどよく取り入れること。

そして、便のようすを毎日さらっと観察すること。

こうしたふつうのケアが、シニア期のおなかを支える一番の味方になります。

気になる変化が続くときは、自己判断で決めつけず、かかりつけの動物病院に相談してください。

この記事の内容は、特定の病気の診断や治療を目的としたものではありません。

出典

Fernández-Pinteño A, Pilla R, Manteca X, Suchodolski J, Torre C, Salas-Mani A. Age-associated changes in intestinal health biomarkers in dogs. Frontiers in Veterinary Science. 2023; 10: 1213287. DOI: 10.3389/fvets.2023.1213287