米ぬかは「発酵」でどう変わる? 成分の中身をのぞいてみた
捨てられがちな米ぬか、実は栄養のかたまり
お米をつくるとき、玄米の外側をけずって白米にします。
このとき出てくるのが米ぬかです。
量が多いわりに使い道が限られ、これまで捨てられることも多い素材でした。
でも中身を見ると、米ぬかは栄養のかたまりです。
たんぱく質やよい油、食物繊維、それにミネラルなどをバランスよく含んでいます。
問題は、このままだと消化や利用がしにくい成分も混ざっていることです。
そこで登場するのが「発酵」という下ごしらえです。

発酵の前と後で、数字がこう動いた
ある研究チームが、米ぬかを菌の力で発酵させて、成分がどう変わるかを調べました。
使ったのは、キノコの仲間の菌です。
発酵の前と後で成分をはかり比べたところ、はっきりした変化が出ました。
たんぱく質は、およそ7.4%から12.8%へと増えました。
炭水化物は、36.6%から50.2%へと増えました。
ミネラル分を示す灰分も、7.6%から11.5%へと上がりました。
いっぽうで脂質は減りました。
同じ米ぬかでも、発酵という一手間を加えるだけで、成分の顔ぶれがこれだけ動いたのです。
菌が米ぬかを分解しながら、自分の体をつくったり成分を組みかえたりした結果と考えられます。

「発酵」は菌による下ごしらえ
発酵と聞くと、なんとなく体によさそうというイメージだけが先に立ちがちです。
でも中身は、とてもシンプルな話です。
菌が素材を食べて、形を変えたり新しい成分をつくったりする。
それを人が利用しやすくする下ごしらえ、それが発酵です。
米ぬかのように、そのままでは扱いにくい素材ほど、この下ごしらえが効いてきます。
かたく結びついていた成分がほどけたり、消化しにくかった部分がやわらいだりします。
発酵は、眠っていた素材の力を引き出すきっかけになるのです。

数字はあくまで「一例」として
ここで大事な注意があります。
今回紹介した数字は、ある条件で行われた実験室での一例です。
どんな菌を使うか、どのくらいの時間や温度で発酵させるかによって、結果は大きく変わります。
今回はキノコの菌でしたが、乳酸菌など別の菌ならまた違う変化になります。
そして、成分が増えたからといって、それが体に特定の効果をもたらすと言い切れるわけではありません。
あくまで「発酵で米ぬかの中身が変わる」という素材レベルの話です。
それでも、身近な米ぬかにまだこれだけの可能性が眠っていること。
そこに、発酵という古くて新しい技術のおもしろさがあります。
出典
Omarini AB, Labuckas D, Zunino MP, Pizzolitto R, Fernández-Lahore M, Barrionuevo D, Zygadlo JA. Upgrading the Nutritional Value of Rice Bran by Solid-State Fermentation with Pleurotus sapidus. Fermentation. 2019; 5(2): 44. DOI: 10.3390/fermentation5020044